サイゴンのちょっと短い日⑬(2018ベトナム訪問記)
戦時下の動物園だった
サイゴン動物園で、アヒル隊長に出会った私は、一つ会釈をしてレトロな城門をくぐる。
城門をくぐると、運河沿いの区画に出た。日差しを避け、日陰に身を寄せ合うシカ達の姿が見えた。
そんなにもこもこでは、身を寄せ合っても暑かろう、と思われた。このシカ達は、「サイゴン陥落」の戦禍を免れ、命を繋いできたのだろうか。近藤紘一の著作に、次のような一節がある。
ただ、歓声こだます園内の空気とは対照的に、肝心の檻の住人達の姿はひどく見すぼらしかった。もともと戦時国家の動物園であるから”収容者”らの数や種類は豊富でない。
ライオンなど一部を除き、ほとんどが国産品のシカ、ヤギ類だ。
(「目撃者」収録 世界の動物園より)
ライオン等とともに”収容”されていたというインド象も健在である。近藤さんが訪れた当時の像は、山岳地帯で”御用”になった山象だったというが、この御仁らの産まれはどこであろうか。
うなだれるクマ
南国の動物園、という趣がある。
ときおり、独特のセンスの像が現れる。
動物園にはやはり、子どもたちの歓声が似合う。
<⑭に続く>
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