Witness1975’s blog

サイゴン特派員 ジャーナリスト近藤紘一氏(1940-1986)について

遥か9,710キロ

Life is very short 

 近頃、書きたいことがなくて困っている。人類の長い歴史を鑑みて、マスクなんぞしなければ外も出歩けない、というのは一過性の事象に過ぎないと思うものの、短い人生の中の1年、2年というのもあまり短い時間でもない。今は誰もが、何かをしない、できない理由について大義名分を持っている。このブログの更新ができないのも、コロナのせいにすれば罷り通るのではないか、と思う。更新間隔が空いてしまい、広告が表示されるので筆を執る次第だ。

 

数字のワナ

近藤紘一と小森義久の共著、「国際報道の現場から」を手に取ってみた。目に留まったのは、「数字のワナ」という小題で単純な数字比較の難しさを、近藤さんが述べている文章である。 

一般には、数字は最も確実な記号のひとつであろう。世界共通して「3」は3、「8」は8であり、それ以外に解釈の余地はない。

 しかし、東南アジア報道者は、この最も普遍的な記号の取り扱いについても苦慮することが多い。

(中略)

 実際に(南ベトナムの首都サイゴンから)六〇キロ圏内で大小の戦闘が頻発していたにもかかわらず、首都住民はどこ吹く風の日常生活を送っていた。道路網が発達した先進国と、そうでない国では、六〇キロの内容がずいぶん異なるからである。ハイウェーの六〇キロは「僅か六〇キロ」だが、密林や沼沢地に覆われた地域では「遥か六〇キロ」ということになる。

  このように、数字というものも、平常時と非常時において、全く違った意味合いを持っている。例えば、企業の業績が好調かどうかを見るとき、多くの企業は昨年よりも大きく改善しているが、一昨年の比べると依然として低空飛行、という事態も一般にみられているはずだ。

 

東京ーパリ間

    次のオリンピックは、近藤さんも過ごしたパリで行われる。現在、東京―パリ間9,710キロを、わずか12時間あれば、移動することができる。しかしながら、今現在は、遥かなる時空の彼方、と言わざるを得ないだろうか。これはなんとも、もどかしいことだ。

 

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