Witness1975’s blog

サイゴン特派員 ジャーナリスト近藤紘一氏(1940-1986)について

(番外編)サイゴンレストラン

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サイゴンレストラン

 

 以前から、「サイゴン」についてインターネットで調べているときに、「サイゴン」の名を冠した飲食店があることに気が付いていた。その中で最も有名と思われるのが、池袋に存在する「サイゴンレストラン」だった。

 池袋駅から、サンシャイン60方向に適当に歩いていると、雑居ビルの3階の看板が目に入った。帰国してから約一月、早速ながらベトナム料理が食べたくなっていたので、これが機会と階段を登ってみることにした。

 

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 狭い階段を登ると、バックヤードのような入口が現れる。どうやら、エレベーターで登ってくる人が多数派のようだった。

 

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 ドアを開けると、左胸にベトナム国旗をあしらった白い服の店員さんが、テーブル席へと案内してくれたが、私が座って間もなく満席となったらしい。店員さんが、私のところにやって来たので、私は自ら進んでカウンター席に移る旨を申し出た。

 カウンターに座ると、ベトナム料理の素材が香り、従業員さんがベトナム語でやり取りをしているのがよく聞こえて、異国情緒を味わうことができた。私も、お店も幸せだった、ということになる。

 

サイゴンセット

 

 ランチメニューには「サイゴンセット ¥1,480」というのがあって、パパイヤのサラダ、生春巻き、揚げ春巻き、ひき肉をライスペーパーで包んだものに加えて、メインとデザートが付くというものだった。ベトナムティーとコーヒーはセルフサービスである。

 ランチとしては高級だが、メインをビーフシチューと決めて注文をした。かつてのサイゴンでは牛肉は下等肉扱いだったそうだが、ベトナム風のビーフシチューはとてもおいしかった。店を出るときに分かったことだが、2017年のミシュランガイドに掲載されているらしかった。

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 同行者がいれば、春巻きをつまみにベトナムビールを味わってから・・・というのもよかったかもしれない。接客も丁寧で、また訪れたいお店ができた。

 

 

 

ミシュランガイド東京 2018

ミシュランガイド東京 2018

 

 

 

サイゴンのちょっと短い日⑨(2018ベトナム訪問記)

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カラベルホテル

 

 ハイランズ・コーヒーを出て、サイゴンの中心を目指した。私は、近藤紘一の「サイゴンのいちばん長い日」の冒頭に掲げられている地図のコピーを-つまり、今から43年前のサイゴンの地図を手元に携帯していた。

 私の元々の興味は、その古地図の中にしかない。そうして街を歩き、細い路地からグエンフエ通りに出ると、大きな建物が見えた。写真左手の高層ビルには、私の知るホテルの名前が掲げられていた。「Caravelle Hotel(カラベルホテル)」だ。f:id:Witness1975:20180404205553j:plain

 その外観から、ホテルは立て直されたらしかったが、その所在地は紛れもなく、1975年にカラベルホテルが存在していた場所だった。

 

「家をあげたい」

 

 近藤さんは、情勢が悪化する中でも下町の長屋に起居していたが、1975年4月24日に

カラベルホテルの503号室に移った。いつ何時、北ベトナム軍の砲弾が撃ち込まれるやもしれぬビエンホア方面に窓を向ける北側の部屋を避け、現在ドンコイ通りと名を変えたツゾー通りに面した部屋だったという。

 この日、近藤さんは老政治家に家の寄贈を持ちかけられたことを述懐している。

 それにしても、赤の他人からいきなり「家をあげたい。よかったら引き取ってくれないか」などと頼まれることはこの先私の生涯で二度とあるまい、と思った。

 そのとき、サイゴンの危機は目前に迫っていた。

 

変わりゆく街

 

 地図によれば、まっすぐ歩いていけばツゾー通りにぶつかるはずだったが、行く手は工事によって阻まれていた。後になって気付いたことだが、私が先ほど抜けてきた細い路地は、本来は大通りであるはずの「レロイ通り」だったのだ。細い路地にも関わらず高級ブランドのショップが構えられていたのには、もっともな理由があったということになる。

 

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 そこかしこで地下鉄の工事や、通りの再整備をするために大工事が行われているらしい。成長を続けるこの街は、今も大きく変わりつつある最中なのだ・・・

 

 

<⑩へ続く>

 

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