Witness1975’s blog

サイゴン特派員 ジャーナリスト近藤紘一氏(1940-1986)について

サイゴンのちょっと短い日⑧(2018ベトナム訪問記)

majesticsaigon.hatenablog.jp

 

バインミー

 

 ベトナムはかつて、仏領インドシナと呼ばれ、フランスの支配下にあった。日本による占領時代を経て、ヴォー・グエン・ザップ将軍率いるベトナム軍が、ディエンビエンフーの戦いで勝利を収めてインドシナ戦争終結させたのは、1954年のことである。

 近藤さんによれば、かつてのベトナムには、旧宗主国であるフランスに対して一種の憧れがあったという。サイゴンが「プチパリ」と呼ばれたのも、フランスの為政者達の置き土産だったのだろう。ところで、フランスを旧宗主国とする国に共通するのは、「パンが美味しい」ということだという。

 朝の街を歩いていると、通勤通学をする人が、そこかしこでパン(又はフォー)を食べているのを見かけた。日本にもこんな風に屋台があればな、と私は思った。

 

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 今でもサイゴンの街中では、棒状のバゲットに生野菜、なます、に加えて鶏肉をはさんだ「バインミー・ガー」や、牛肉をはさんだ「バインミー・ボー」が屋台で売られている。この食事が15000ドン、75円程度に過ぎないのだ。

 私は、時間さえ許せば当分の間、この街で暮らせそうだった。ベトナム行きを迷っていた私に、最後の後押しを加えたのは、サイゴンバインミーを食べてみたいという考えだったのではないか、という気がしなくもない。

 観光エリアから外れた一角で、私は街の人が食べているような屋台の一つでバインミーを食べることにした。言葉は通じないので、食材を指さして注文する。屋台の女性が、どこからかイスを借りて来てくれたので、ありがたく座らせてもらった。こうした自然な優しさに触れ、改めてサイゴンに来て良かった、と私は思った。

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 通勤時間を迎えると、ずいぶんと交通量が増えて通りも賑やかとなってくる。日本では珍しいラウンドアバウト形式の交差点?が、多くあり、車両がスムーズに流れていく。

 

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ハイランズ・コーヒー

 

www.highlandscoffee.com.vn

 ベトナムではコーヒーも有名らしく、一番多く見かけたチェーン店はハイランズ・コーヒーという。朝の9時半頃、3時間以上ほとんど歩き通しの私は、休憩場所を求めてここに立ち寄った。どの店舗もオープンエアーの席があるようで、通り沿いの席に座ってしばらく落ち着いた。アイスコーヒーはずいぶんと甘かったが、これが南国、ベトナム流なのかもしれない。

 文字通り爽やかな風の吹くところで落ち着くと、改めて旅の実感が湧いてきた。一度、街の中心部に行ってみよう、と思った。

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<⑨へ続く>